冷蔵庫の無い暮らしとの出会いは高江@沖縄、2008年の年末でした。
初めての沖縄
わたしの初めての沖縄旅行は2008~9年の年末年始、泡瀬干潟~高江~辺野古をめぐる一人ツアーでした。
沖縄の開発問題
泡瀬干潟は埋め立てて特別自由貿易地域にする計画。
辺野古の海は埋め立てて米軍基地(戦闘機の滑走路)にする計画。
高江は森を伐採して戦闘機の離発着場をつくる計画。
わたしはいまも当時も、開発には反対の立場です。百聞は一見に如かずがモットーなので、話しを聞いてるだけの沖縄モンダイ’sの現場に行ってみたかったんですよね。
現地で色んな人に話しかけるのも悪くないですが、大まかに全体のことを案内してくれる人もあらかじめ探しておき、一人大問題ツアー年末年始10daysを決行しました。
大問題ツアーとしてのあれこれは置いときます。そんなきっかけで訪れたのが高江でした。
やんばる高江
当時の友人の紹介で、高江に住むM家に数日お世話になりました。
セルフビルドの広々とした平屋、玄関脇のデッキには手作りの物干し台、裏口には土間があり、土間には台所がある。台所に、冷蔵庫が見当たらない。
一人暮しで料理をしないからって理由以外で、冷蔵庫が無い暮らしとの初めての出会いでした。
沖縄の台風
2009年の9月、2回目の沖縄7days。前回の滞在でM家への憧れがいっぱいになったわたしは、今度はM家に1週間お世話になっちゃいました。(※宿ではありませんからね💦💦)
この時数々の初体験をさせてもらったのですが、その大きな1つが「沖縄の台風直撃」。
高江に着いた日は台風直撃予報の前日でした。お宅に到着してからは台風準備。漫画や映画でしか台風の準備なんて見たことがありませんでした。
トンカントンカンと雨戸や扉を釘で打ち付けたり、庭の物を全部しまったり、小屋に重石をのせたり。
ホントにするんだなぁ。え?!こんなことまでする必要あるの???。などと思いながらのお伝い。
翌日に台風が直撃したら
「こんなことまでどころか何しても足りない?!」
という、沖縄の台風の威力の洗礼をうけましたよ、よよよ……( ω-、)
驚異の脅威
雨が強くなってきたなーと思ったらほどなく停電。昼間でしたが、雨戸をしめて打ち付けてあるから隙間がほとんどなく、かなり薄暗いんですよね。ただの停電、と分かりながらも「きゃっ(; ゚ ロ゚)」とビビりました。
暗いねぇ、キャンドルともそう。
ゆらゆら光るあかりを見ながらゆんたく(おしゃべり)。外はゴウゴウとしてきましたが、ほのぼの過ごしていました。
急に部屋が明るくなりました。突然、打ち付けてあった雨戸がふっとんだんです。雨ざらしになった窓ガラスが割れた。
台風が家の中に侵入し、戸棚の瓶たちが風に巻かれてくるくると宙を舞う。
1つ風の通り道ができたら、他の雨戸のミシミシ音が大きくなった。もう一ヶ所窓が空いたら、風の通り道が家の中にできる。そうなったら、瓶がくるくるどころでは済まない。
暴風雨の中、男衆が玄関から外に出る。飛ばされそうな雨戸を必死に押さえながら、釘でうちつけていました。
嵐が過ぎて
昼~夕方にかけて高江を直撃した台風。通り過ぎたら夕飯の時間でした。
台風が過ぎても停電したまま。高江は山の上の方でして、停電すると水道も止まるようです。(この時、停電・断水の復旧には3日~4日かかりました。)
豊かさの物差し
電気もなく、水道も止まった集落。
停電が数日に渡り、冷蔵庫の中身はどんどん腐っていきます。高江は街から離れているため、買い物も容易ではありません。日頃食べ物を保存している冷蔵庫がダメになるのは、死活モンダイ?!
冷蔵庫のこと以外にも、家の小屋がふっとんだり、ログハウスが傾いたり、台風による被害がそこかしこにでていて大変だー、大変だー、と大騒ぎ。高江台風被害がYahooのトップニュースになっていました。
幸いなことに、M家には何か大きな物が飛んで消えていくような被害は出ませんでした。(雨戸一枚くらい)
近くに川が流れているので水には困りまん。冷蔵庫が無いので電気が止まっても食事はいつも通りです。キャンドルの灯りをともして過ごしました。
台風の後のM家は、いつもの農作業が台風の後片付けになっただけ。他には、洗濯物がちょっと(?)たまったくらい。
いつも通り、瓶詰めの魚の油漬けなどの保存食やお麩などの乾物、畑でとれた野菜をつかったご飯を食べて過ごしました。
夜はキャンドルをともし、空には台風一過の星明かり。
私の手にある豊かさ
冷蔵庫の無い暮らしによって、災害時にこんなにも豊かな気分が味わえるとは思いもよりませんでした。
M家の暮らしにはもともと憧れていたので、それが災害の備えにも通じるだなんてイイコト尽くし。
しかも、冷蔵庫は24時間365日稼動の電化製品。一番電気を使う家電なので、省エネにもなる。
冷蔵庫が普及したことによる豊かさも、たっくさんあります。そこを否定する気持ちはありません。ただ、だからって冷蔵庫が無い暮らしがみすぼらしいわけではないんです。そこには、別の魅力や豊かさが確実にあるんですよ。
不便さを楽しむ、工夫する
冷蔵庫が無い暮らしならではの豊かさには、不便さを楽しむことも含まれます。不便さを楽しみ工夫する余裕が、わたしにとっては一番の豊かさなのかもしれないなー。
そんな気付きが、沖縄・高江での台風で運ばれてきました。
それから約一年半後…
2011年の2月、実家をでて初めての一人暮し。冷蔵庫を買わずにスタートしてみました。冬だというのもありましたが、ほとんど不自由さを感じずに過ごしていました。
一人暮しをはじめて約1ヶ月、東北大震災発生。停電しても食材に困ることが無いというのを、まさかこんなに早くまた経験するとはおもいもよりませんでした。
初めての夏は計画停電があった年。冷蔵庫がないおかげで、余計な心配をせずに過ごせました。
2018年のいま、もうすぐ冷蔵庫無しで過ごす8回目の夏を迎えます。
もーすっかり、無いことに慣れました。不便なことが無いわけではありませんが、冷蔵庫が無いことによってうまれる(半強制的なw)保存食や(常温保存ゆえうっかり醸されることも多いw)発酵食作りの楽しさ&電気代の安さ(夏場は500円程度です)を考えたら、冷蔵庫を持つ気持ちにはいまのところなりません。
でも、絶対に使わないぞ!!とは思ってないんですよ。なにかしらの主張で冷蔵庫を使っていないのだと思われることがあるのですが、そんなことはありません。
確かにわたしは、求める社会像への表現として暮らしをデザインしていきたいと考え、実行しています。いまは冷蔵庫無しの暮らしを選んでいますが、それは単純に愉しいから。
暮らしを愉しく、暮らしを小さくデザインするのがモットー!!なのです。
冷蔵庫がないおうちサロン
冷蔵庫を使わずに暮らしはじめたころは企業(東京ガス)の環境教育施設で働いており、まさかフリーランスになって家でマッサージするようになるとは思っていませんでした。
いま自宅サロンが(一応)メインの収入となったいま、冷蔵庫が無いってことで面白がって訪れて下さるお客様がたくさんいらっしゃいます。
暮らしを愉しくデザインすることが、仕事の糧になったりもするもんなんですよね。そんな風に暮らしと仕事の境界線を曖昧にする……というのは、これからの社会にとって1つの選択肢として大きくなっていくと考えています。
こんなライフハックもありってことにしませんか?
大きくでましたが、現状、我が家は超弱小ですw家賃払えない~Σ(゚∀゚)なんてこともたまーにあります、とほほ。
とはいえ、そうなった時の対処も含めた暮らしの不便さ?!すらも愉しめるように、トータルで暮らし(仕事)をデザインをしていくことは、これからの社会のライフハックとして重要だとおもうんですよねー。。。
あなたの暮らしで、どんな未来を築いていきたいですか?